魔女の雫

世界の怖い話を紹介する怪談ブログです。 紹介しているお話は全て実話。眠れない長い夜にでもお楽しみください。またあなたの体験した怖い話を募集しています。投稿はwitch-shizuku@gmail.comまで。

コーン畑の影(イギリス)

Cornfields

当時9歳だった私は、小さな村の中で好きなところに行くことを、少しずつ親に許されていました。私と友人たちは夏休みを利用して、誰も行ったことがないような新しい場所に行ってみました。冒険してるかのようですが、家からたった4マイルしか離れていない土地で、私たちは決まって農家の人たちに追い払われ、警察にも怒られていました。私たちはボディーガードとして、私の心優しいハスキー犬(ウルフィー)も連れて行ったのでした。

 

私たちは、どこかに行こうと村の外れをうろうろしていたのですが、どこも訪れたことがあって、この道だって散歩のたびに見かける馴染みの道だったのです。そこは、古い道にいくつかの茂みや家が一件あるだけで、探検するにはつまらない場所に見えたのでした。

正直言って、ひどく退屈で、私たちはガラクタだらけの畑で30分ほど楽しんだだけだったので、2時間後、私たちが見つけたこのトウモロコシ畑は、とてもホッとする、素晴らしいものでした。トウモロコシは私たちの頭よりも高く、暖かで心地よい輝きがあります。

 

私たちは、私の提案したかくれんぼをすることにしました、というのも、私は犬を使って狡ができるからです。4ゲームほど遊んだあと、私がオニの番になると、ウルフィーで友達を追跡し、膨大な量のトウモロコシの中を駆け巡りました。彼は匂いを嗅ぎつけ、そこに誰かがいると吠えてくれました。

 

ウルフィーが隠れている友達の方に私を引っ張って誘導して行ったのですが、今まで見たことのないような動きをして固まり、怯えたように弱々しく鳴いたのです。

それから彼は私の後ろを走って、吠えたり鳴いたりして、私はものすごく怖くてたまりませんでした。突如、凍えるような寒さになったかと思うと、気温は−5度くらいまで下がり、私は葉っぱのように震えていました。

 

すると、隣のトウモロコシの列の黒い人影が私を通り過ぎて行き、ウルフィーは私を地面に引き倒しながら、全力で反対方向に引っ張ったのです。そして彼は、首輪を引き抜いて走り去ってしまいました。

 

その日一緒にいた3人の友達のうちの一人、親友のクラークの悲鳴が聞こえたとき、私は何が起こっていたのか気づかずにボーッと床に倒れていました。私は駆け上がってその音を追いかけると、クラークが床の上で震えながら、狂ったように前後に揺れているのです。

 

私はパニックになっていたので、彼に近づく勇気がありませんでした。この時、私が一緒に来ていた他の2人の友達、アンガスとチェルシーに大声で叫ぶまでは、クラークはまだ私のことに気付いていないほどだったのです。

 

そこで、彼は振り返って私に近づくなと叫ぶと、石を拾い私の頭に投げつけてぶつけてきたのです。痛くなかったことに驚きましたが、それはショックのせいだったのでしょう。私は、すぐに背を向け駆け出し、その時何を考えていたのか分かりませんが、途中でウルフィーを抱くアンガスとチェルシーに会い、首輪とリードを装着すると、彼らにも走るように言い、自らもまた走り続けました。

 

いつもは友達の中で一番走るのが遅い私ですが、この時は彼らの何マイルも先にいました。1時間ほど走ってようやく長い道を抜け出すと、息を切らして舗道に倒れ込み、ウルフィーもひどく息を切らしながら私に頭を擦り寄せてきました。チェルシーとアンガスもすぐにやって来ましたが、クラークがいないので、私たちは彼を待とうと2時間ほど舗道に座っていました。

 

この頃には、私の顔には赤く硬いカサブタができていました。それから、私たちは、ある人物がよろめきながら道路に出てくるのを見ました。それは服も顔もズタズタに引き裂かれたクラークだったのです。

 

私は彼に向かって駆け寄ったのですが、またも彼に近寄るなと叫ばれてしまい、チェルシーが「一体何があったの?」と彼に尋ねました。彼は彼女に向かって、畑にいた男から「私のせいで彼の身近な人が亡くなることになるだろう」 と言われたことや、ボロをまとった女に襲われたことを話したのです。

 

それ以来、私たちはクラークとは話をすることはありませんでしたが、彼のママと私のママは友達で、定期的に私の家で会っていました。ある日、私が外で自転車をいじっていて、クラークの母親が家に帰ろうと車に乗りかけた瞬間、ある車が角をすっ飛んで私に突進してきました。 クラークの母親は急いで走り寄って、私を押しのけると、悲しいことに彼女がその車にはねられ、2日後に集中治療室で亡くなってしまいました。

 

2年後、私が学校のトイレで吐いていた時のこと、クラークが乱入してきて私の髪の毛を掴んで床を引きずり回し、私の頭を何度も床に叩きつけて、「だから、こうなると言っただろう!」と怒鳴りました。そこへアンガスが乱入してきて、彼を私から引き離すと、私が床から起き上がる間にクラークを押さえつけてくれていたので、私は走って助けを呼びに行きました。

 

それから、彼はその翌日に引っ越してしまい、私たちは二度と彼に会うことはありませんでしたが、あの日彼は引っ越し前に仕返しをしたのだと思います。私が最後に聞いたところによると、彼はテキサスに引っ越して自殺未遂をしたそうです。今でもクラークのことが恋しいですが、もう二度とあの悪の現場には行くことはありません。