舞台は、ウエストバージニア州マウンズビルにある古い凶悪犯罪者用刑務所で、ここには、長く、時に忌まわしい過去があります。囚人たちは、暴動のさなか、独房で他の受刑者たちに殺されました。中でも最も知られているのが、ある囚人が作った「オールドスパーキー」と呼ばれる電気椅子で処刑されたことです。
現在、この刑務所は閉鎖されてますが、見学することも可能です。もしあなたにその勇気があるのなら、そこで一夜を過ごすこともできます。私もアメリカに戻り次第、行ってみるつもりでいます。
この話は、私がウエストバージニア州で看守をしていた時の、刑務所見学ツアー中に起きた出来事です。最初に簡単な施設の説明を受けると、後は一般人が立ち入ることのできない、ほとんどの場所を自由に見学することが許されていました。
歩き回りながら、私はちょうど砂糖小屋と呼ばれる、凶悪犯罪者を収容していた場所にたどり着きました。この時、この場にいたのは私だけのはずでしたが、3階に上がってある独房を偵察した時、階下で独房の扉がバタンと閉まる音を耳にしました。
もし、全てのドアが一度に閉まったのであれば、私はこれほど驚かなかったでしょう。 しかし、私の所から見える開閉レバーは、誰にも制御されることはありませんでしたし、レバーは「開」の状態のままでした。これをきっかけに、私はその場を離れ、受刑者を発狂させたと言われる懲罰房のある地下室へと向かいました。
地下室にいる間、私は、終始誰かにつきまとわれているように感じ、懲罰房に近づくにつれ、猛烈な恐怖と絶望の感覚に襲われたのです。それでも、なんとか正気を保った私は、地下室の奥へと進んでいきました。 そこで私は、暗がりに右から左へと動く人影を垣間見たのです。すかさずライトをかざしたのですが、そこには何もなく、それどころか、出ていった人影すらありませんでした。
またも、その不穏な合図をきっかけに、私はその場を後にしました。私はそこから医科歯科病棟まで行ってみたのですが、ここ自体では何も起きていなかったようです。ただ不吉な予感は拭いきれません。この刑務所の壁の向こうには、何かが棲みついているとしか思えないのです。
私は、この刑務所で一晩中幽霊を追いかけてみるつもりです。撮影機材と音響機材を持ち込んで、何らかの映像や音声をこの手で捕らえてみたいと思っています。