魔女の雫

世界の怖い話を紹介する怪談ブログです。 紹介しているお話は全て実話。眠れない長い夜にでもお楽しみください。またあなたの体験した怖い話を募集しています。投稿はwitch-shizuku@gmail.comまで。

田舎の恐怖(カナダ)

Cucine

私が15歳の頃、オンタリオ州バーフォードにある古びた農家で、この事件は起こりました。私は2001年の夏に一週間ほど、友人とその家族の購入して間もない農家を訪れました。その家は不気味な過去があり、6年ほど前、前オーナーが地下室で首吊り自殺を遂げていました。地下室と言っても、貯蔵庫のようなもので、正面玄関の側からしか入ることができません。

 

その家は、それ以前にも火災に見舞われたようで、修繕もされずにいました。家の内部は二つに分かれていて、通称、「焼けた部屋」と呼ばれる場所へは、長い廊下を通り二階に上がらなくてはなりません。そこには、まず友人の部屋、次に浴室、そして最後に焼けた部屋がありました。そこの廊下の突き当たりには扉があり、二世帯住宅の第二部につながっています。私はたった一度だけそこに行ってみましたが、破壊されていました。

 

その家は現在修復されつつありますが、一方で火災による損傷はまだ残ったままです。週も終わりに近づくにつれ、私は今までに起きた数々の話を耳にしました。

 

たとえば、二家族が家をシェアしていたある夜、家の第二部で起きた火災により、そこの夫、妻、そして息子が亡くなったとか。現在の廊下にある焼けた部屋を、友人の両親がきれいに片付けた時、取り壊した壁と壁の裏からスプーンの刺さったヒ素缶が発見されたとか。

 

まあ、そこに泊まった当初は、私もただただ面白がっていました。ドンドン響く音、聞こえる声、奇妙な感じ、全てがデタラメでありえないと思っていたんです。

 

ある晩、私と友人は部屋で音楽を爆音にして聴きながら、寝る準備をしていました。みんなとは離れているし、何の問題もないはずでした。ところが、突然、ものすごい勢いでドアをノックする音を聞いたのです。音量を下げドアを開けると、そこには誰もいません。

 

きっと彼の弟にからかわれたんだろう、ぐらいにしか思っていませんでした。その後も同じことが起こり、そこには誰もいないのです。今度ノックされたらすぐにドアを開けようと、私はドアの側に立つことにしました。案の定、ノックしてきたので、開けてみるとやはり誰もいません。

 

そのまま廊下を見ると、どうしたことか、焼けた部屋のドアが大きく開いているではありませんか。私と彼は一目散に階段を駆け降り、みんなのいるリビングに飛び込みました。彼の父親に「ふざけて走り回るはやめろ」と言われたのですが、そんなつもりは毛頭なかったのです。

 

それから私たちは彼の弟と一緒に部屋に戻り、音楽を楽しむことにしました。そうすると、再びあのドアのノックが始まったのです。今度はさっと音量を下げたので、誰かが走り、クスクスと笑いながら、ドアをピシャリと閉める音が聞こえてきました。それは廊下の突き当たり、そうあの焼けた部屋からでした。

 

その翌日の夜、私たちは負けじとばかり、3人でその部屋で眠りました。その時、私たちは聞いてしまったのです。20分近くも、その焼けた部屋で誰かの悶え苦しむ声を。これが私の人生で最も恐ろしかった体験です。