魔女の雫

世界の怖い話を紹介する怪談ブログです。 紹介しているお話は全て実話。眠れない長い夜にでもお楽しみください。またあなたの体験した怖い話を募集しています。投稿はwitch-shizuku@gmail.comまで。

血まみれの女教師(不明)

血まみれの女教師

School

ある男性が日本からアジアの諸国に単身赴任した際に聞いた話です。その男性は、海外の現場で働くのは初めてでしたが、現地の人々や同僚はとても優しく、すぐに打ち解けられたそうです。

 

ある日同僚たちと仕事の休憩中に、怪談大会が始まります。男性は、どこの国でも怖い話は盛り上がるものなんだと思いました。そして、各々知っている怪談を順に発表します。その中でも、とりわけ陽気な同僚がこういいます。「俺本当に幽霊を見たことがあるんだ。」と。今まで作り話で盛り上がっていたのでみんな興味津々です。

 

その男が言うには、それは学生時代のころの体験だそう。 男は、珍しく早起きして早朝に学校に向かいました。まだ誰も登校しておらず、校内に人気はありませんでした。いくつか教室を通り過ぎ、自分のクラスにつこうとしたその時、通り過ぎた教室に人影を感じたそうです。気になって薄暗い中、扉を開けると、そこには女教師が立っていました。

Crookesmoor School

男は安心して、おはようございますと挨拶をすると、女教師も挨拶を返してきました。しかし振り返った女教師の首は血で真っ赤。目つきは鋭く、縁どられたように真っ黒。何かをぶつぶつと唱えるように話しながら、自分へと手を伸ばしてきます。驚いて悲鳴を上げると、周りが白いもやに包まれていくように感じたそうです。

 

足元がどんどん見えなくなり、さらに首が絞められているように息がしにくくなり、身動きが取れなくなるような感覚に陥りました。しかし、女教師の鋭い眼光は自分を捉えたまま。男は必死の思いでもがき、やっとの思いで教室を離れました。

 

助けを呼びながら守衛室まで走ります。不幸中の幸いで、守衛室には常駐警備をしている守衛さんがいたようで、今まさに自分に起きた出来事を話しました。男は、薄暗い早朝に登校してきた生徒が教室で幽霊を見た、なんて話は信用してもらえないだろうと思っていました。

しかし、その話を聞くや否や守衛さんは顔を真っ青にし、ある教室名かと尋ねます、それはまさに先ほど自分がいた教室でした。急いで守衛さんと一緒に教室まで戻りましたが、そこにはすでに何もなく、冷たい空気だけが残っていました。

@ school

どういうことかと守衛さんに話を聞くと、「この現象はたびたび起きている。」とのことです。続けて守衛さんの話によるとこうです。

10年前にさかのぼり、ある女教師が殺害された。しかしただの殺しではなく、レイプ殺人であったそう。挙句に首を絞められ、無残な姿で発見されました。そこから、このように女教師の幽霊が出て男性職員や生徒を襲うという現象がたびたび出るようになったそうです。

 

守衛さんは言います。「君はまだラッキーなほうだよ。」男はラッキーでなければどんな仕打ちに合うのかと聞きたくなりましたが、まだ女教師の幽霊がいるかもしれないと思うと背筋がぞっとしたので聞くのをやめました。続けて、「この教室に近づくのはやめた方がいい、あとこのことを言いふらすのも。」と守衛さんは暗い表情で話しました。

 

肝心のこの現象の発端となった事件や犯人の詳細については何もわかっていないようで、校長などを含め役員たちは口を閉ざしたままで、分からずじまいとのこと。その日はそれで事なきを得て、それからは何事もない学校生活に戻ったそう。そこから男は、遅刻ギリギリに学校に行くようになったと、いつもの陽気な口調でこの話を終えました。

 

今まで作り話でワイワイと盛り上がっていた現場は凍り付きました。怪談話、というか怪談体験話を終えた男は続けてこう言いました。「もっと怖い話があるよ!」と。今まで固唾を飲んで聞いていた同僚たちはいっせいに男の口を塞ぐようにして、この怪談話休憩を終えたそうです。