魔女の雫

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黒い寺院(インド)

黒い寺院

India


私はトレッカーで、自然愛好家です。忙しい仕事のスケジュールをぬって、毎年休暇を取ると、野生生物保護区や山などに足を運びます。汚染されていない環境ときれいな空気を満喫する時間は本当に平和な時です。多くの場所にトレッキングに行きましたが、あるジャングルと山で奇妙な出来事に遭遇しました。この出来事について紹介します。

 

これは独身時代に、カルナタカ州シモガにいるいとこを訪ねた時のことでした。私のいとこ、ニテシュは、一人っ子だったので、結婚式にはすべての親戚が出席する予定です。幸運にも10日間ほど休職できることになったので、結婚式が終わった後、少し観光もしようと他のいとこを誘ったところ、ラム、バラ、ゴーリッシュも私と同じような計画を立てていたことがわかりました。

 

予定通り、結婚式の数日前に家族と一緒にニテシュの家に行き叔父、叔母、そして新郎になるニテシュから温かい歓迎を受けました。数日間はこの壮大な結婚式の準備に費やされ、もちろん私たちも、結婚式がうまくいくように心を込めて手伝います。結婚式は上手く行き、壮大な式が終わるころ、私たちはへとへとに疲れてしまっているほどでした。

 

新婚の夫婦を新婚旅行に送り出した後は、数日間田舎を探索しました。シモガは自然が豊かな美しい場所で、美しい古代寺院が多くあり、様々な動植物が生息するジャングルも近くにあります。私たちは近くニテシュの家の近くにある、いくつかの寺院を訪問するのに一日過ごした後、ジャングルを冒険しようと、一晩キャンプすることにしました。

 

両親は最初は気が進まなかったようですが、地元に住むサッチンとニテシュの友人を連れて行くことになっていたので、安心したようでした。サッチンはシモガを自分の庭のように詳しく知っているので、私たちの冒険にもってこいな補佐官です。サッチンと計画や手配をし、私たちは早朝4時半頃にジャングルへ出発しました。

 

まず私たちは町の郊外に出るまでサッチンが運転する古いジプシーで約50キロほどニテシュを横断しました。私たちが途中立ち寄った小さな集落にも、サッチンの知り合いがおり、お茶を飲んで皆で楽しく休憩した後、午前5時45分頃にジャングルに入りました。

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ジャングルの中を散歩して日の出を見るのは、本当に素敵でした。入ったときは静かで活気がない場所のように感じたのですが、すぐにさまざまな鳥や動物の音で満たされていくのです。するとサッチンが、ずっと前に訪れたことのある場所に連れて行ってくれることになりました。ジャングルの真ん中に建てられた古代の寺院です。

 

彼はどこに行くのか秘密にして、私たちを驚かせようとしていたようで、行先以外は何も教えてくれませんでした。午前11時頃に少し休憩をして、軽食をとり、午後2時30分頃に目的地に到着するまでは、ずっと休憩なしで歩き続けます。快晴の美しいジャングルの小道は美しく、私たちは楽しみながら歩きました。

 

すると寺が目の前にあらわれました。最初見たときは普通の寺院のように見えましたが、何か私はゾッとしました。寺は当時一般的によく使われた黒いラテライト石で建てらており、本堂は中央にあります。一方の角には、寺院が昔、住人に水を提供していたらしい古い井戸がありました。敷地の左端には2階建ての建物があり、20室ほどの部屋があるので、巡礼者のために使用していた宿舎のようです。

 

また寺院の周りには、いけにえの儀式を行うために使われた祭壇のような奇妙な台もいくつかありました。私たちはゆっくりとその場所を探索し始めます。こんな立派な寺院なのにも関わらず、どこにも本尊がない、というのが不思議です。

この寺院にはこのような物語があったのです。

 

物語:

寺院はかなり古く、おそらく紀元9〜10世紀に建てられました。私たちが歩いてきたジャングルには、かつて繁栄した町がありましたが、何らかの理由で町は捨てられ、それからジャングルになっていったようです。もしかしたら町が放棄されたのは、この呪いのせいなのかもしれません。

 

寺院は何世紀にもわたって廃墟となっていましたが、発見されたことについては、あまり知られておらず、噂では19世紀初頭にタントリック教団に引き継がれた、とされています。19世紀初頭には、黒魔術や、今はもう忌み嫌われているような慣習が行われていました。これらの慣行は他の人々に見つからないように、新月または満月の夜に極秘に行われました。

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村人たちはジャングルから奇妙な音が聞こえることから、避けられるようになります。さらに近くの村では、雌鶏、山羊、その他の家畜や動物がいなくなる、といった事件も定期的に報告されていました。この事件の多くは、村の中に迷い込んだ野犬やヒョウが犯人であるとされ、誰も逮捕されることはありませんでした。

 

それから不吉なことが続けて起こりました。3週間の間に、3〜5歳の3人の子供が行方不明になったのです。人々は警戒し、警察では犯人を捕まえて行方不明の子供たちを見つけるための捜索が始められました。

 

当時の警察の監督は、ジョン・ウォルタースというイギリス人でした。彼は勇敢な人で、村人たちからも好かれていました。ジョン・ウォルタースは犯人がわかったら、すぐに裁判にかけることを村人たちに約束し、調査を始めます。調査を始めると、彼は村から黒神殿と呼ばれている場所があるということと、そこで不気味な慣習が行われていることを突き止めました。

 

ジョン・ウォルタースと警官たちは武装して、いけにえの儀式が行われているであろう、ある満月の夜に寺院に踏み込みました。そこには50人ほどの男女が生活していたそうです。彼らカルト教団のメンバーは不潔で、灰で覆われた体はほとんど裸でした。カルト教団のメンバーたちは激しく抵抗しましたが、ウォルターズは落ち着いて彼らを抑え込んだのです。

 

しかし彼が予想していた以上のことが、この寺院では行われていたのです。警察隊は、近くにある穴の中に人間の骨と死体の山を発見しました。約50人以上の遺体があり、数週間前に行方不明になった3人の子供の遺体も発見されたのです。しかし他の死体に関しては、誰も警察に報告されていませんでした。

 

遺体の発見された噂はすぐにが広まり、正式な裁判が行われる前に、怒った村人たちは、カルト教団のメンバーを捕らえ、恐ろしい犯罪を犯したという理由で彼ら全員を同じように焼いて処刑してしまいました。

 

ウォルターズはこのことを知っていましたが、村人たちのことを思い、口を閉ざさしたため、この事件についてその後誰も話すことはありませんでした。しかし、いまでもこのカルト教団のメンバーと犠牲者が寺院に出没し、満月と新月の夜に奇妙な出来事が起こったと噂されています。そのため、人々はますますその場所を避けるようになったのでした。

 

 

 

さて、これはサッチンが私たちに教えてくれた話です...しかし、彼自身はこれが真実なのか、それとも村人の作り話なのかは知りませんでした。ボリウッドのマサラ映画のようでしたが、この場所について何かがおかしいようで、なにか強いネガティブな雰囲気は間違いなく感じました。

 

サッチンから話を聞いた後、バラとガウリッシュはすぐにこの場所を離れたい、怖がっていました。しかし、ラムとサッチンは2人をなだめ、この話はかなりばかげたものなので心配する必要はない、と話しました。もう午後4時近くになっていたので、家に帰ることは難しかったのでしょう。暗闇のジャングルで迷子になるリスクもあります。

そのため、私たちにとって一番良いのは、本堂の中で夜を過ごし、翌日早朝すぐ出発する、ということでした。さらに間の悪いことに、暗い雲が突然空を覆い、雨が降ってきました。

 

急いで安全な寺院内に避難しなければならなくなったので、本堂に入り、少しでも夜を快適にしなければなりません。

 

長い間使われていなかったため廃墟となった寺院には、信者が祈りのために集まったであろう巨大なホールがあり、ホールの端には本尊が配置されていたのであろう場所がありました。寺院の入り口は3つあり、正面に1つ、右側に1つ、左側に1つです。

 

ラムとサッチンは、かなり暗い寺院の中を探索し、安全かどうか確認しようとしていました。人間が住んでいない場合、野生動物が巣穴を作る可能性があるからです。特に野生動物は見つからなかったので、私たちは安心して腰を下ろし、持ってきたサンドイッチを食べました。憂鬱な天候であることと雨であることが相まって、特にガウリッシュはとても緊張しているようでしたが、翌朝まで何もできません。

 

午後8時近く、ラムと私が目を覚ましました。他の人はまだ寝ていましたが、外を覗いてみると、雨が止み、真っ暗な闇が広がっていました。今日は新月の夜だったのです。改めて暗闇の中で外を見渡すと、確かに奇妙な場所で、とても不気味に感じます。ガウリッシュが目を覚ませば、さらに動揺してしまうでしょう。

 

ラムがトイレに行きたいというので、私は一緒に行こうかと聞きましたが、彼は平気そうに、「すぐに戻るから大丈夫」といいます。私は彼にトーチをもたせ、気をつけて行くよう送り出しました。

 

ラムとトイレにいっている間、サッチン、ガウリッシュ、バラも目を覚ましました。ガウリッシュはやはり外の様子に緊張してしまったようで、突然ラムがこっちに向かって走ってきたときは、完全に混乱してしまい、バラとサッチンはガウリッシュを必死でなだめなければいけませんでした。

 

帰ってきたラムは全身泥で汚れていて、うまく息ができないほど怖がっています。彼は最初私たちに何がったのか、話そうとしたのですが、完全に混乱した状態でうまく話せず、要領がつかめません。私たちはラムに水を少し飲ませ、何が起こったのか話してもらうために、落ち着かなせなければいけませんでした。

 

ラムはヒンズー教徒だったので、神聖な場所である寺院を汚すわけにはいかず、敷地の端に行って用を足そうとしました。すると突然後ろから音がしたので、音がした方向にトーチを向けてみましたが、そこには暗い森以外に何も見えません。気のせいだと思ったラムが再び用を足そうとしたとき、誰かが彼のすぐ後ろに立っているのを感じました。

 

ラムが振り向いてみると、数フィート離れた先に、かすかに立っている女性と子供の姿がありました。驚いた彼はトーチを掲げてみましたが、そこには誰もいません。しかしラムは見間違いではない、ここには絶対に誰かがいた、と確信したのですぐに寺院にいる私たちのもとに戻り、何が起こったのかを教えてくれたのです。

 

ラムは慌てて私たちの法に帰ってきたため、暗闇の中でぬれた泥のぬかるみに足を取られ、転んでしまったそうです。するとラムがゆっくり起きようとしたとき、後ろで誰かがヒステリックに笑っているのが聞こえたのです。今度こそラムは持てる力を結集して、走って私たちの元に戻ってきたのでした。

 

サッチンとゴーリッシュが、ラムを落ち着かせていとき、私とバラは寺院への入り口をチェックして、本当に誰かいるかどうか確認することにしました。しかし入り口を確認したてみても、異常はありません。そこで捜索する範囲を広げて、寺院の中にある小さな部屋を見に行くことにしました。部屋の中に慎重に踏み入り、部屋の中にトーチを向けます。部屋には誰もいなかったのですが、さびれた古い寺院の部屋にしてはきれいで、何か誰かがそこにいたように感じます。

 

3人のところに戻り、このことを教えようと来た道を振り返ると、後ろから何かが動く音が聞こえました。すぐに振り返ると、そこには奇妙な服装をした3人の女性が立っています。彼女らの着ている服はとても現代のものとは思えず、さらに顔には灰を塗りたくり、伸ばしきった髪をぼうぼうに広げているのです。

 

3人のうちの1人が手にトーチを持っており、他の二人はこの女性の後ろに立ち、じっと私のほうを見つめています。それからゆっくりと私のほうに近づいてくるのです。彼女たちが立ちふさがるので、完全に部屋に閉じ込められた私は、最悪の事態も考えながら、部屋の角にうずくまっていると、3人はどんどん私に向かって進んできます。

彼女達から数フィートまでの距離に近づいたとき、私はいつも身に着けている、マールティ神のロケットをしっかりと握り、目を閉じて、静かな祈りを捧げ続けました。恐る恐る目を開けると、部屋は暗く空っぽになっており、急いで友達の元に戻りました。

 

私がこの3人の女性にあっている間、バラは別の入り口でタントラ儀式のために、何人かの人が火をつけているのを突然見たそうです。バラは後で私に教えてくれたところによると、彼ら様子は、一世紀以上前に生きたまま人を燃やしたという、カルト儀式そのままだったそうです。

つまり私たち2人はほぼ同時に、この寺院で行われていた過去の様子を目撃していたのです。私たちはこれ以上この不浄な場所でにいたくはなかったので、すぐに寺院を離れることにしました。これは午後10時頃のことです。

 

ところが寺院の外に出ると、私がさっき部屋で見た3人の女性と、バラが見かけた男性たちが私たちを見つめていたのです。彼らは儀式を邪魔されたことを怒っているようで、恐ろしい怒り狂った目で私たちを見つめていました。私たちはそれを振り切りがむしゃらに走り出します。もうジャングルのどこにいるのかもわかりませんでしたが、一刻も早く彼らから離れなければいけなかったのです。

 

ジャングルのどこにいるのかはもはやわからくなってしまいましたが、とりあえず寺院から離れたことが分かった私たちは、安堵のため息をついて、何とか昼歩いた道に戻ろうと歩き出しました。しかしこれは間違っていたのです。私たちがどんなに違う道を選んで行ったとしても、かならずあの寺院に連れ戻されるのです。それはまるで、目に見えない何かが私たちがその場所から離すまいとしていたかのようでした。

 

午前1時頃、走り続けた私たちは完全に疲れきってしまい、木の下に座りこんでしまいました。私たちの中には、永遠にこの場所に閉じ込められてしまったのではないか?という不安感が、大きく首をもたげます。さらに悪いことに、寺院から時々大きな音が聞こえるこがあるのです。しかし誰もがそれを確かめる勇気はありませんでした。

 

時間が止まり、すべての希望が失われた時、私は突然アイデアを思いつきました。悪霊たちを遠ざけて私たちを守ってくれる神をたたえる歌「ハヌマンチャリサ」を歌おうと皆に呼びかけたのです。私たちはこのハヌマンチャリサをできるだけ大きな声で唱え始めました。すると、奇妙に心が落ち着き、自信がつき、勇気が戻りました。寺院の中から聞こえてきた声もどんどん聞こえなくなってきます。

 

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午前4時頃まで祈り続け、ついに私たちは疲れ果てて眠りにつきました。目を覚まし、時計を見ると、時刻は午前6時30分で、日の出の時間が近づいていました。私はすぐに他の人を起こし、一度も寺院を振り返らずにその場を去りました。今度は迷うことなく、数時間でジャングルを抜けることができたのです。

 

私たちが地元の人達に寺院で起こったことを話すと、地元の人達はひどく怒り、あなたたちは非常に愚かであったと非難しました。さらに、過去にはあの寺院に行って二度と見られない人がたくさんいた中、生きて戻れたことはとても幸運だったと、教えてくれたのです。

 

村で軽食をとった後、午後5時頃に帰宅しましたが、私たちはこのことについて誰にも話さず、静かに眠りにつきました。この出来事に私たちは間違いなく心を揺さぶられ、不安を感じていましたが、なんとか隠すことができました。そして数日後、ムンバイに向けて出発したのです。

 

ムンバイに戻る途中、私たちは旅行中に起こった事件についてそれぞれ心の中で考えました。

 

バラが見た女性と子供は、カルト教団の犠牲者だったのかもしれません。

 

私が見た3人の女性はカルト教団のメンバーかもしれません。

 

寺院にいた男たちは、あの忌まわしいタントラ儀式を行った人たちだったのかもしれません。

 

しかしながら、あの夜、私たちをこの恐ろしい出来事から救ったのは、間違いなく神だけだったということだけは誰にも疑いようのない事実なのです。

 

こちらのお話の詳しい解説は

 

ghost-witch-shizuku.com

 こちらで行っています。