魔女の雫

世界の怖い話を紹介する怪談ブログです。 紹介しているお話は全て実話。眠れない長い夜にでもお楽しみください。またあなたの体験した怖い話を募集しています。投稿はwitch-shizuku@gmail.comまで。

ジープニー(フィリピン)

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日常生活の中でなにかおかしな事が起こった時、”気味が悪かった”で済ますのは良くないかもしれません。それだけで済むといいのですが、私達が予想もしなかったような奇妙な出来事を体験した時、あなたならどうしますか?少なくとも当時の私はこの様な出来事を面白半分で聞考えていました。ある友人が自分に起こったある経験を話してくれるまでは。。。

 

この物語は私の友人がジープニーで家に帰る時に起こった恐ろしい話です。ジープニーとはフィリピンで使われている交通手段で、もともと第二次世界大戦で残った米軍のジープから作られ、派手な装飾と混雑した座席で有名なフィリピンの名物です。

 

その友人が学校の授業を終えて遅く帰宅した時の事です。その頃彼女はディリマンキャンパス(フィリピン大学)の近くに住んでいたので、夜遅くに帰宅する際、タクシーの代わりに、ジープニーに乗るのが日常でした。

 

その日は真夜中頃にジープニーに乗ったのですが、その運転手がバックミラー越しに彼女をチラチラ見続けている事に気づきました。 (すべてのジープニーには独自のルートがあり、不必要な切り返しを行わず、それぞれのルートを守る必要があります。違反すれば警官につかまることもあります)。

 

この運転手はじろじろみてくる上に、コースを外れて曲がるはずのない曲がり角で曲がったのです。すでにもう人気のない遠くまで来てしまってる事もあり、不安に思いながらもこのドライバーの運転するジープニーの車内でじっとしていると、運転手が最後の曲がり角を曲がったところでもともとのルートに戻っていることに気づきました。

 

目的地であるターミナルに到達する前に、運転手は彼女に向かって言いました。「あなたを怖がらせたり、驚かせたりして申し訳ありません。本当はそんなことしたくなかったんです。」と。そして続けてこう言ったのです。「お願いがあります。うちに帰ったら今着ている服を全部脱いで焼いてください。」

 

そこで彼女が理由を聞くと、「私があなたを何度も見たのは、バックミラー越しにあなたを見た時、あなたの頭が体にくっついていなかったからなんです。」と説明しました。 「ですから私はルートを変更し、その地域に存在する悪いエネルギーから逃れようとしたのです。でもまだあなたにとりついていると思うので、服を焼いてください。」

家に着いた友人は恐怖で震えながらもすべての服を脱いで、全てをすぐに燃やしました。数日後、彼女はニュースでジープニーの運転手がその出来事の翌日死亡したことを知りました。あの警告は彼女のためではなく運転手のためだったのです。