母と私に起きた3つの出来事
この3つの出来事はすべて私の生まれた家で起こりました。
1つ目
当時、私の家はトイレとバスルームが家とは別に3メートル離れた森の近くに建てられていました。ある夜、母がバスルームに行こうと玄関のドアから出て行くと、バスルームやトイレの建物や周りの森に、絡みつくように白い霧が浮かんでいたのです。夜なのにその霧は不自然なほど明るく、森の中に風が吹いても全く動かないのです。気持ち悪くなった母は、そのまま家へと引き返ししました。
2つ目
母がお風呂に入っていると、窓の外から誰かの頭の影のようなものが見えました。母はおそらく私の父か誰かが窓を動かし、いたずらをしているのだろうと思ったそう。そこでいたずらをやめるよう影に向かって声をかけると、窓が動くのは止まり、影だけがそこに残りました。不思議に思いながらもお風呂から上がり、父を問い詰めたところ、父はそんないたずらはしていないし、家から出ていない、ときっぱり否定されたそう。それでも私の母やはり、父のジョークだろうと思ったようでした。
3つ目
最後の事件は、祖父が亡くなった後に起こりました。母が祖父の葬儀を終え、家に戻ろうとすると、バスルームのそばに祖父の姿がありました。ほんの一瞬のことでしたが、祖父の表情は、母に何かを知らせるような、訴えるようであったそうです。
私の母が父の叔父の一人が殺害されたこと、そして叔母が血のついた服をバスルームの近くにある森に埋めていたことを知ったのは、最初の2つの出来事があった後でした。
この事件が起こった当時、私は20歳で、祖父のガレージに保管した自分の荷物を整理していました。私たちは別の家に引っ越していたので、いとこにも手伝ってもらい、一日中家具やその他の持ち物を整理したのです。整理し終わったら、いらないものは燃やすことに決めたので、2人とも家の後ろにある森へ、古い紙やガラクタを持って行きました。
いらないものに火をつけて、燃えているのを見ると、森から女性の声で私の名前を呼ぶのが聞こえました。空耳だと思ったので、気にせず従妹と話し込んでいましたが、もう一度、同じ方向から大きな声で私の名前を呼ぶのが聞こえてきました。しかし私たち以外には、誰も森の中に行ってはいません。というか森に入るのは、私と祖父くらいで、祖父が亡くなったあと、私だけとなっていたのです。
そこではた、と思いつきました。
母が見た霧、影、叔母による叔父の殺害事件、何かを伝えようとした祖父の霊。すべてこの森に関係しているのです。では森の奥から私を呼ぶこの声は…?
私たち2人はすぐに森を離れ、引っ越しのための荷物を積み込んだ車の中で、ひたすら出発を待ったのでした。