魔女の雫

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ウォーカーバレーでの出来事(アメリカ・ワシントン)

Showering

去年の夏、私は継父とワシントン州の「ウォーカーバレー」と呼ばれる、ダートバイクのコースへでかけました。水曜日の朝だったからか、数人のライダーがいましたが、それほど人は多くなく、メインのコースを使っていたのは、私と父だけでした。あまり混んでいる日ではなかったと思います。

 

私は父と小さなダートヒルをダートバイクで走っていました。父は私の数メートル先にいたのですが、私が彼を追っていたとき、私のバイクは減速し始めたのです。エンジンの調子がくるってしまったようで、スロットルハンドルをひねり続けましたが、スピードが上がりません。そして突然私のバイクは止まってしまい、コース外に寄らなければなりませんでした。私の父は、私が止まったことを知らなかったのか、待ちたくなかったのかはわかりませんが、止まったり私を探したりはしませんでした。

 

そのため私は一人になってしまいました。再発進しようと、何度もキックスターターを使いましたが、エンジンは始動せず、もう一度キックすると、今度はテールパイプからの異臭に気づいたのです。キックするたびにどんどん濃い色の煙が出てきたので、どうしたんだろうと思いテールパイプをのぞき込みましたが、何も悪いところは見当たりませんでした。

 

さらにバイクを数回キックし、やっと動かすことができました。その後、私は父に追いつき、さらに数時間乗りましたが、バイクは調子が悪いままで、また止まってしまいました。

 

その日は午後の遅い時間に、ウォーカーバレーを出て家に戻りました。家についた時、私がトラックの後ろからバイクを降ろしている間、私の父はトイレに行くために家の中に入っていきました。ガレージにバイクを置き、なぜ調子が悪かったのか確認したかったので、バイクの点検をしてみました。

 

エンジンカバーを開け、エンジンを覗いたとき、私はとてもショックを受けました。エンジン全体にこげ茶色の髪が絡まっていたのです。煙も出ていて、いやなにおいがしました。コースに行く前にもエンジンチェックをしていましたが、その時は髪の毛などまったくなかったので、本当に驚きました。見ると、髪の毛はかなり巻き込まれているようでした。これがバイクの不調の原因であるのは明らかです。さらに嫌なことに、すべての髪を取り除くのに20分ほどかかってしまいました。

 

焦げついた髪を全部取り除き、ゴミ箱に捨てました。その後私は家の中に入り、母に髪の毛について何か知っているかどうか尋ねました。母の髪はバイクについていた髪の毛とほぼ同じ色だったからです。彼女は怪訝な顔をして私を見て、バイクに近づいてもいないと言いました。確かに、母は男性のようにショートカットにしているので、長い髪が絡みつくはずもありません。いろいろ気味が悪い出来事でしたが、私は疲れていたので、部屋に行き、長い昼寝をしました。

 

目が覚めた時はもう夜になっていました。寝る前にシャワーを浴びることにし、髪の毛を洗いながら、何気なく足元を見ると、なんと長い茶色の髪が排水口から出てきて、私の足の指に絡まっているのが目に入ったのです。私は大声で叫び、滑って倒れかけました。シャワーから急いで出て、部屋に戻り裸のまま濡れて震えていました。とても怖かったです。私は金髪で父は髪が薄くなってきているほどだったので、あの髪の毛は誰の毛でもないのです。

 

母が階段を駆け上がり、どうしたのかと尋ねてきました。私は何も言わず、ベッドに横になり寝ました。翌朝、私はおそるおそる浴室に入り、浴槽を見てみました。もう髪はどこにもありませんでした。私は今回以外、このことを誰にも言っていません。あの日、何が起こったのか、まだ正確に説明することはできませんが、幸いにも、二度と同じ経験はしていません。まだシャワーを浴びるのは怖いですが、なんとか恐怖を乗り越えていこうと思います。