魔女の雫

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ドゥウェンデの呪い(フィリピン)

balete

私はフィリピンで生まれ育ち、私が11歳の時にアメリカに引っ越しました。

これは私が7歳の頃、フィリピンにいた頃に起こったお話です。

 

正直に言うとその日私に何が起こったのか、はっきりと覚えてはいません。数年後に叔父がその話について教えてくれました。その後も家族や親戚みんなで集まる際にその話を聞かされるのですが、私は気が遠くなるような思いで聞いていました。

 

このお話は、私と父が、父の姉とその子供たちが住む州を訪れる所から始まります。父の姉、つまり私の叔母は3人の子供がいます。1人は私と同い年で、残り2人は私より少し年上です。

 

私たちが叔母の家に到着した時、私の従兄弟たちは家の中から外に飛び出して私たちの到着を喜んでくれた事をよく覚えています。

 

しばらくした後、従兄弟たちと私は外で隠れんぼをすることにしました。従兄弟の1人が鬼で、他のみんなは隠れました。叔母のお家は森の中にあり、周りにはたくさんの山や木々、背の高い草に囲まれていました。

Dwarf Miner

フィリピンでは、ドゥウェンデという小人のような生き物が、森の中や木が生い茂っている場所に生息していると信じられています。そして彼らの道を横切る際、"Tabi-Tabi Po Nuno"、フィリピン語で「小人さん、失礼します。」という挨拶を言わずに通ってしまうと、呪文をかけられてしまうと言い伝えられています。

ドゥウェンデには良いものと悪いものがいて、悪いドゥウェンデに出くわしてしまうと恐ろしい事に死の呪文をかけられたり、気味の悪いイボが全身にでき、ひどく醜い容姿に変えられてしまうと言います。

 

話はかくれんぼに戻ります。私の従兄弟が鬼で、他のみんなは隠れています。私は鬼が絶対に見つけられない場所を探しました。そして樹齢100年くらいはありそうな、とても大きな木に穴が開いているのを見つけたので、私はそこに隠れることにしました。

 

私は隠れんぼに夢中だったため、従兄弟たちが教えてくれたドゥウェンデたちへの挨拶を、すっかり忘れていました。私はずいぶん長い間その木の中で隠れていましたが、一向に鬼が見つけに来ないのでその穴から抜け出して従兄弟たちのもとに戻りました。彼らは私を見つけることができず、諦めてしまっていたようです。

 

その夜の夕食前、私はなんだか気分が悪くなっていました。体が震え出し、何度もトイレに駆け込み嘔吐しました。その後何があったか正直あまり覚えていません。父と叔母によれば私は3日間もの間昏睡状態だったようです。

私はまるで恐ろしい悪夢を見ているようにうなされ、汗はぐっしょり、そして突然笑い出したり泣き出したり、時にはまるで私の目の前にいる見えない何かがいるかのように1人で話をしていたようです。私の家族は怖くなって私を病院に連れていきましたが、お医者さんは私の体にはなんの異常も無いと言うのです。

krasnal - Wrocław

叔母が従兄弟たちに、外で何をしていたのか尋ねました。従兄弟たちは、ただ外で隠れんぼをしていて、私を長い間見つけることができなかった事を伝えました。そこで父と叔母は、これはひょっとするとドゥウェンデの呪いではないかと思い、呪術医のもとに連れていきました。呪術医は私を見るなり、すぐに私に何かたちの悪いものが取り憑いている事に気付きました。

 

彼女はろうそくに火を灯し、桶に水を注ぎ始めました。そこにある植物から抽出した特殊な油を数滴垂らし、何やら不思議な呪文を唱えながら溶けたろうそくと液体を混ぜ合わせると徐々に固まり始めました。

 

その溶けたろうは穴のある大きな木を形作り、その穴の中には私と思われる人間の姿がありました。そしてその周りには4,5匹のドゥウェンデが取り囲んでいました。数匹はただ私をじっと見つめ、他の数匹は何やら私に何かを投げつけているように見えたそうです。

 

呪術師は私たち家族に、もう一度その木の元に行き、きちんとドゥウェンデに挨拶をし、たくさんの果物を備える事を勧めました。

 

父と叔母は私をそこへ連れて行き、ドゥウェンデ達への無礼を謝罪して果物を山ほどお供えしました。

 

不思議な事に私が覚えているのは、その翌日目を覚ました時には、この数日間何が起こっていたのか全く覚えていなかった事です!