魔女の雫

世界の怖い話を紹介する怪談ブログです。 紹介しているお話は全て実話。眠れない長い夜にでもお楽しみください。またあなたの体験した怖い話を募集しています。投稿はwitch-shizuku@gmail.comまで。

青い服を着た少年(フィリピン)

Boy

あなたは魂や霊、あるいは超常現象に遭遇したことはありますか? 誰かにそう指摘されるまで気づかなかったかもしれませんね。これはわたしが深夜のオフィスで働いていたときの体験談です。このお話を始める前に、まず詳しい状況をお伝えしましょう

 

わたしの名前はマット。フィリピンのマニラにあるコールセンターで働いています。電話先の国の時間帯に合わせないといけないため、我々コールセンターで働く人の多くは深夜シフトで働いています。さて、そろそろ本題に入りましょう。

 

わたしはそのコールセンターのあるビルのエレベーターの中で小さな少年と会いました。彼は3フィート程度、1メートルにも満たない背丈で青い服をいつも着ていていて、午前3時の休憩のときによくエレベーターで乗り合わせました。

 

彼はいつも4階でエレベーターを降りていてわたしのオフィスは6階だったので、先にエレベーターを降りる彼に別れの挨拶をするのですが、彼はいつも何も言わずにエレベーターを降りてしまったのです。私は彼に何度も話しかけようとしたことがありました。でも、彼はうつむいて何も話さないのです。そんなわけで彼が気分を悪くしないように、わたしは彼と会っても話しかけないようになっていました。

 

そうして彼と何回か会った後、わたしは彼についてふと頭をよぎりました。この子の両親はどこにいるんだろう、それにこんな時間に彼はこのビルで何をしているんだろう。そして、彼と会わなくなって数日後、偶然ロビーで階段を降りようとする警備員に出会いました。彼らも深夜シフトで働き、ビル内を巡回していていたので、その子についてたずねてみました。

 

そして・・・話を聞いてわたしは身の毛がよだちました。エレベーターでいつも出会う幼い少年について、彼は誰なのか、こんな遅い時間に何をしているのかとたずねたところ、警備員のひとりがこう答えたのです。”4階でエレベーターを降りる青い服を着た小さい少年だろ?” わたしはそうだと答え、彼が4階で何をしているのか聞いてみました。

 

すると”いや、それがわからないんだ!!”と言うのです。4階はこの3年間というものずっと空き部屋だったそうです。彼らも巡回すると、ときどき4階で廊下の隅を走り抜ける少年の姿を見かけ、その少年が逃げた先を探してもなにもみつからないことがあったというのです。

 

それを聞いてわたしは顔面が蒼白になり、恐ろしさで心臓がばくばくするのを感じました。

 

その後、わたしはその少年に会っていません。でも、たまにエレベーターが4階で止まるのです。ハリソンビルの冷たくてだだっぴろい廊下では、小さな少年がくすくす笑う声が今夜も聞こえるかもしれません。