魔女の雫

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窓の中の紳士(アメリカ・コロラド)

DSC_0552 Water

私のことをうそつきと呼ぶ人がいるかも知れません。また、私が小さすぎて目にしたものをよく理解できなかったんだろうと言う人もいるかも知れません。しかしそれは違います。9歳の子供には、これほど複雑な作り話はできないでしょう。

 

そのすべてはホテルで始まります。私はイリノイ州に住んでいましたが、その時は、両親と一緒にコロラド州のホテルに宿泊していました。1年も経っていないような非常に新しいホテルでした。夕食後、私は両親と祖父母と共に、1階のプールへ行きました。祖父母と父は、母がお風呂に入っている間、私が泳ぐのを見てくれていました。 

 

このプールは、普通の屋内プールでしたが、壁だけが少し変わっていました。透明なプラスチック製で窓のように外を見ることができたのです。しかし、すでに夜遅い時間だったので、その壁からは真っ暗で何も見えず、見えたのはプールの水と椅子のかすかな反射だけでした。

 

しばらくして、父は祖父母を家に送るためにプールを離れました。父が母を連れてくる間、祖父母は2階に上がって行きました。私はみんながいなくなったあと、プールから出て、壁に映った自分の姿を見ていました。自分自身の姿をみていたのですが、何か他のものが見えてきました。目を凝らしてみると、それは男の人だったのです。

 

ここで私は、瞬きして自分が正気かを確かめました。見回しても周りには誰もいません。私は完全に一人だったのです。別の窓を見て、外にも誰もいないことを確認しました。誰もいません。戻って再び窓を見ると、やはり自分自身が映っています。しかしもっとじっと覗くと、またその男の人が見えました。遠くにいるようで普通の人より小さい男の人。透き通っているようで、空中にいるよう。私は猛烈な寒気を感じ始めました。

 

彼は黒い靴と、黒のズボン、そして昔の男が着るブラウスのような白いシャツを着ていました。黒い燕尾服を着て、シルクハットも被っています。年は40歳くらい。頭をもたげてゆっくり歩いています。私が彼をじっと見つめていると、彼も私を見つめてきました。

 

ちょうどその時、母が裏口のドアを開けたので、私は思わず飛び上がってしまいました。 「ミシェル、大丈夫?」母に聞かれましたが、私は母にそのことを内緒にしました。私の家族は誰も幽霊を信じていませんし、私も信じていません。しかし、私がその時見たものには、本当に驚きました。母に誰か外にいるかどうか尋ねましたが、誰もいませんでした。

 

私は幽霊を見たことを忘れようとしましたが、それは不可能でした。しばらくして、もう一度見てみるとまだそこにいたのです。私はプールに飛び込み、何も考えないようにしました。

 

その後、母と私はプールから離れました。するとすぐに火災警報器が鳴り、 2階に行くとそれが誤作動であることがわかりました。誰も警報を鳴らさなかったのです。警報機がどうして鳴ったのかもわかりません。本当に怖かったです。夜には誰かが私を見ているような感じもしましたが、邪悪な感じではなかったと思います。

 

私は超常現象を信じていませんが、気配は感じます。あのホテルは再建されたので新しかったので、もし私が見たものが幽霊なら、たぶん昔その場所にホテルがあり、火災が起きて多くの人々が亡くなったでしょう。私が見たあの幽霊は、同じ悲劇が起きないようにと戻ってきた火災の犠牲者だったのかもしれません。あなたはどう思いますか?