魔女の雫

世界の怖い話を紹介する怪談ブログです。 紹介しているお話は全て実話。眠れない長い夜にでもお楽しみください。またあなたの体験した怖い話を募集しています。投稿はwitch-shizuku@gmail.comまで。

ポルターガイスト(イギリス)

Poltergeist

私はアパートの2階に両親と住んでいました。最初に引っ越した時、お隣の人から「そのアパートには住まない方がいい」と忠告されました。私達の前の住人は、常にウイジャボードを使ったパーティをしていたそうです。しかし、私の父は隣人の言う事など気にも止めませんでした。私は当時12歳だったと思います。

 

事が始まったのは、引っ越しをしてから3日経った頃でした。廊下にはカーペットをダメージから守るプラスチックのランナーが敷いてありました。私達が就寝をしようとベッドに入った時、廊下のランナーの上を誰かが走っている音がしました。父がベッドから起き上がり、灯りをつけると、その音は聞こえなくなりました。泥棒が入ったのではないかと心配した父は、アパート内をチェックしましたが、特に変わった事はありませんでした。再びベッドに戻り、灯りを消して、就寝する事にしました。

 

10分位経ったころです。また何かが廊下を狂った様に行ったり来たり走っている音がしました。父がベッドから飛び出し、即座に廊下に出た瞬間、また音がしなくなりました。父は部屋の入り口から、そこにいる何かに向かって「出ていけ!」とどなりました。

 

その怒鳴り声に怒っているかの様に、キッチンの戸棚が大きな音をたてながら、閉まったり開いたりし、マホガニー製の重たい椅子も床の上を滑りだしました。母はショックを受けて悲鳴を上げ始めました。父が電気をつけてキッチンに行くと、戸棚も椅子も静まりました。すべての戸棚は開いていて、椅子もキッチンの中央に移動していました。

 

この様な状況の中、数年間このアパートに住み続けました。実際に霊を見たのは父が最初でした。私はその次に目撃しています。私たちは二つの霊が住み憑いている事を確認しました。母は声を聞いた事がありましたが、霊を見る事はありませんでした。それは不幸中の幸いだったと思います。もし母が霊を見たりしたら、心臓発作を起して倒れてしまうのではないかと思います。

 

特に私が頻繁に見たのは、黒いローブを着ていて、顔の無い頭をフードで隠している霊でした。ショベルの様に大きな手にはルビーの指輪が輝いていました。背は2m位あり、肩はドアよりも広く、まるで死神の様に見えました。他の霊は白いローブを着ていて、首の周りには白いフリルを巻いていました。背丈は黒いローブの霊と大体同じでした。ある日、どこからか口論が聞こえてきました。「もう十分遊んで楽しんだだろ。本来住む場所へ帰るべきだ。」と一人が他の一人に対して言っているのが聞こえました。

 

母は本当に心配症なので、牧師に会いに行く事にしました。私達の言っている事が本当に起きているのか、それともただ単に気がおかしいのか、事実性を調査をする人達がやってきました。一日審査を終えた後、悪魔払いをする様にと指示が出ました。

 

今私は30歳で、自分の家を持っています。数週間前の事です。息子が叫びながら階段を降りてきました。彼は部屋に男の人が現れたと言うのです。息子が容姿を説明した瞬間、誰が部屋に現れたのかすぐに分かりました。

 

息子は現在10歳ですが、2階に行く事を怖がり、一人では絶対に行きません。アパートに住んでいたあの数年間、私の生活は地獄の様でしたが、時が経つにつれてそれが普通の日常になりました。私は過去の出来事を誰にも話した事がないので、息子が実際にあの霊を見たのは確かです。悪魔祓いは成功し、霊もいなくなったとばかり思っていたのですが・・・・・罰を与えられているのでしょうか。