魔女の雫

世界の怖い話を紹介する怪談ブログです。 紹介しているお話は全て実話。眠れない長い夜にでもお楽しみください。またあなたの体験した怖い話を募集しています。投稿はwitch-shizuku@gmail.comまで。

煙の中の女(フィリピン)

Smoke

アメリカで育った私は、この暗い国で行われている謎や幽霊を知りませんでした。すべては、フィリピンのラグーナ州の 暑い晴れた日から始まったのです。私のいとこのジーナと私は、涼をとるために、家からそう遠くない場所にあるアグア・ヴィーダというリゾート地で水浴びをすることにしました。アグア・ヴィーダは素晴らしく、子供たちの演奏や、大音量の音楽、笑い声、そして水しぶきでいっぱいです。

 

私たちはさらに刺激を求めて騒いでいると、ついに長い髪の女性から大きな声で怒られてしまいました。その時は怒られたことなど全く気にも留めていなかったのですが、まさかその夜にあんなことが起こるとは、まったくわかりませんでした。

 

私のいとこのジーナは、とてもひどい痛みに襲われ、大きな声で夜通し叫んでいました。家族全員で薬から薬草まで、様々なことをやったのですが、 何も効かず、朝まで悪化し続けました。そこで私のおばちゃんが、彼女を治そうと、地元の魔女のところに連れて行くことにしました。

 

この魔女の儀式では、白い透明な石(タワス)が使用されました。魔女は、タワスで十字架をきりながら、彼女の体をこすり、最後にタワスを燃える炭の中に放り込みました。

 

私は今でも自分の目が見たものが信じられません。燃え盛る炭から長い髪の毛を持つ女性の姿を現れてきたのです。あの日、リゾートで見た怒った長い髪の女性を思い出して、背筋が寒気が走りました。なぜそんな顔をしているのか、私には理解できませんでした。

 

その女性は、私のいとこが自分の空間に侵入したことに怒っているのだそう。そこでジェナを罰するために、激しい痛みで彼女を呪ったのだそうです。幸いにも痛みは治まったのですが、その女性が誰なのかはまだわかりませんでした。私は、彼女の説明をして、この女性が誰なのか、何か手がかりを得たいと思い、あちこちに尋ねました。

 

すると何年も前に、あのプールで溺れた女性がいると言われました。