魔女の雫

世界の怖い話を紹介する怪談ブログです。 紹介しているお話は全て実話。眠れない長い夜にでもお楽しみください。またあなたの体験した怖い話を募集しています。投稿はwitch-shizuku@gmail.comまで。

3人のクラスメート(フィリピン)

Legs Shadow

これは、私がまだ14歳の時に祖母から聞いた話です。

 

話の始まりは、祖母がまだ高校生だった頃に遡ります。祖母は放課後になると、友達のミルナとシュチェルトと校門で待ち合わせをして、一緒に下校しました。幼馴染の3人は、幼い頃から毎日一緒に徒歩で登下校する事が日課となっていました。安全面でも、数人で歩く方が、一人で歩くより安心という理由もありました。

 

ある日の放課後、いつものように3人並んで下校していた時のことです。祖母が歩きながら, ふと足元をみた時、右側を歩いていたシュチェルトの影がおかしい事に気が付きました。左側にいたミルナの影と、自分の影を確認した後、もう一度シュチェルトの影を確認しました。祖母は自分の目を疑いました。シュチェルトの影には首が無かったんです!

 

祖母は、お喋りに夢中で奇妙な事にはまったく気づいていない二人に、影の事を伝えました。事態を把握しても、シュチェルトはとくに怖がった様子ではなかったそうです。むしろ、何故彼女の影に頭がないのか興味津々だった様です。3人は、何度も位置を変えたり、並ぶ順番を入れ替わったりしてみましたが、何をやってもシュチェルトの影には首が戻りませんでした。

 

家に近づくと、シュチェルトの影にはいつの間にか首が戻り、普通に戻っていたそうです。3人はいつもの様に別れて、それぞれの家に帰宅しました。これがシュチェルトとの最後の別れになる事など知らずに・・・

 

次の日、友達のミルナが祖母の家のドアを叩きつける様にノックしました。彼女がドアを空けると、ミルナはヒステリーを起こして泣いていました。何があったのか話を聞く為に、祖母はミルナを落ち着かせようとしました。やっと話ができるまで落ち着いたミルナから、信じられないニュースを聞かされました。今朝、何度呼んでも起きて来ないシュチェルトを起そうと、彼女の母が部屋に行き身体を揺すった瞬間、シュチェルトが氷の様に冷たくなっている事に気づいたと・・・シュチェルトは帰らぬ人となったと・・・

 

シュチェルトの突然の死因は今でも不明です。医者は、肺炎が悪化したのが原因だと話したそうですが、前日まで全く健康であったシュチェルトが、肺炎で病死したと言われても、信じる人はいませんでした。私の祖母は、目に見えない何か邪悪なものがシュチェルトの命を奪ったと信じています。あの日、彼女の影に首がなかったのは、その死の知らせや警告だったのではないでしょうか。