魔女の雫

世界の怖い話を紹介する怪談ブログです。 紹介しているお話は全て実話。眠れない長い夜にでもお楽しみください。またあなたの体験した怖い話を募集しています。投稿はwitch-shizuku@gmail.comまで。

家に帰らない謎の子ども達(カナダ)

Scratch / Flew

私は、夫のジェイシンと一緒に、カナダのオンタリオ州ミシサガにある地下室付きの素敵そうな家に引っ越しました。 私達が引っ越して1カ月ほど過ぎた頃から、得体の知れない音がして、物が動いたり、キャビネットの中身が数分で入れ変わるようになりました。

 

それから、小さな子供のような手形が私のクローゼットの鏡に、そして浴室の鏡にも現れ始め、いろいろな物が壊れ始めたのです。子供たちの声が聞こえたので、私は可哀そうだと思い、彼らにやさしく接し、母親のように面倒を見たのです。

 

私はそこで暮らしている間、ずっと落ち込んでいました。ある日私は、部屋の隅で泣いている「ジョン」と名付けた少年を見かけました。彼は部屋の真ん中で膝まづき、私のドレスに顔を埋めて泣いたのです。私は彼に話しかけ、おもちゃを与えて、大丈夫だよと伝えると、しばらくして落ち着きを取り戻しました。

 

私が家を清めた後、彼らは姿を消したようです。ところがそれから1カ月後、騒動は突如始まり、事態は以前より酷くなりました。夫のジェイシンが殴られ、突かれ、平手打ちされ始めたのです。

 

しかし、その正体が何なのかは分かりません。さらに「遊んでいるジョンが、その後死んでしまう」という夢を繰り返し見るようになりました。夢の中で、彼は毎回りんごを食べて窒息死するのです。私達が住んでいた場所は、以前は農場だったそう。

 

幽霊の出没は止まらず、私達が家をもう一度清めると、そうした現象はひと月は収まりましたが、そのあと状況はさらに悪化し、物理的な攻撃が一層増えていきました。

 

ある晩、友達のアッシュが泊まった時のこと、アッシュはキッチンで笑い声やちょこちょこ走るような音を聞いたそうです。最初は私のウサギだと思ったそうですが、ウサギは私の部屋のケージに入っていました。それから彼女は、少女がひっそりと泣いているのを耳にしたと。その後、アッシュは二度と私の家には来ることはありませんでした。

 

別の夜、ジェイシンは何かに突き刺され、激しく殴られたのです。彼は、その正体不明なものに向かって、自分の声が聞こえるかと尋ねてみたところ、彼の頭を強く叩いてきました。そこで彼は「何か僕に知らせたいことがあるのか?」と続けました。すると、再び彼の頭を強く叩きました。

 

この間、私には何かわからない穏やかな音が聞こえていました。それから彼は、そのものに向かい「あなたは何歳なのか」と尋ねました。すると、最初に彼の頭を8回叩き、次に10回、そして6回、最後に再び8回叩いたのです。そこで彼が「僕に何か見せたいものはあるのか?」と尋ねると、再び彼を強く殴り始めました。

 

そこで彼は「家の中にある場所の名前を言うから、正しいものがあったら教えてくれないか?」と言いました。彼が名前を挙げ始め、キッチンと言った瞬間、その正体不明なものは再び彼を何度も殴り始めたのです。彼が台所に行ってみると、ゴミのガサゴソする音がしたため、急いで部屋に戻ってきたのでした。

 

その後、騒音と物音はより大きく、執拗に続くようになりました。感謝祭の日、私達が夕食を楽しんでいると、台所にある食器が流しで激しく砕き壊されていきました。私のバイオリン用の特別なワックスでロジンも粉々になり、ゴブレットも全て破壊され、壁からナイフまで飛んできました。

 

別の日、私がコンピューターのそばに座っていると、目に見えない鈍器のようなもので頭を殴られました。別の日、私が家に一人でいると、何かに見られているような感じがして、その「何か」は、私が死ぬのを望んでいるように感じました。その後も家にいると、いつもそう感じるようになりました。

 

ある晩、私とジェイシンはベッドで横になっていました。この頃には、私達はもはや暗闇で眠ることができなくなっていました。隅に暗い影が現れて、それがどんどん大きくなり、彼が跳び上がって部屋の灯りをつけると、その影は消えました。

 

家の中にはもう一つ何か正体不明のものがあるような気がしてなりません。私は胃や全身が痛み、すっかり体調を崩してしました。その正体が何なのか、検討もつきません。自分の家なのに、まだ歓迎されていないように感じ、すっかり途方に暮れました。ある夜、ジェイシンが帰宅する直前に、私がシャワーを浴びていた時のことです。

 

彼の「ただいま」と言う声が聞こえたので、私は「おかえりなさい」と叫んだのですが、返事はありません。それから、シャワーカーテン越しにもの凄く恐ろしい顔がにらみつけているのを見たのです。私はカーテンを叩き、ジェイシン!と呼びます。しかし辺りを見ても誰もいません。ジェイはまだ家に帰ってはいなかったのです。私は濡れたままシャワーから出てタオルに包まり、彼が帰ってくるまで外の階段に座っていました。

 

別の夜、彼が帰宅する前に、私はまたもシャワーを浴びていました。ジェイシンは帰宅すると、顔から血を流し、泣きながらシャワーから歩いてくる私の元へと駆け寄りました。私の頬には、くっきりと跡が残るくらいのひっかき傷が18か所もあったのです。

 

彼に落ち着かせてもらうと、私はそのまま寝室へと向かいました。寝室に向かう間に私は再び攻撃されたます。今回は両方の乳房に、それぞれ22か所のひっかき傷がありました。彼はパニックにながらも、私を再度バスルームへ連れて行き、顔と胸を洗ってくれたのですが、私が振り向いた瞬間、またも私は背中全体を酷くひっかかれたのです。

 

傷はこれまでに経験したこともないほどヒリヒリと痛み、それが3日間続きました。私達はできるだけ早くここを出ることにしました。

 

引っ越しの前夜、私は眠りにつき、朝はスッキリと目覚めたはずですが、足がひどく痛むのです。痛みの原因は分かりませんが、まだ寝ぼけていたせいか、足を見ることはありませんでした。その午前中、なぜ足がこんなにも痛いのかと思い、ふと足に目をやると、おどろきました。

 

室内の暖房器具による火傷の跡がついていました。それも手のひらほどの大きさで、かなりの熱傷です。私は眠りが浅いのに、なぜ、これほどの火傷に気づきもしなかったのでしょう。ジェイシンが寝返りを打っていても、私は目が冴えて寝付けないというのはよくあるくらいなのです。火傷はまだ完治しておらず、あれから2か月半が経ちますが、胸にはまだひっかき傷が残っています。

 

私が感謝している事、それは、今生きていて、あの状況から抜け出せたという事実です。誰かこのような事についてご存じでしたら、教えてください。